知って得する血糖値の話

血糖は、炭水化物以外からも作られる。

 Adapted from http://millbasindoctor.com/diabetes-management-high-blood-sugar

Adapted from http://millbasindoctor.com/diabetes-management-high-blood-sugar

血糖は、炭水化物だけではなく、グリコーゲン(高分子のブドウ糖)、脂肪、アミノ酸、乳酸から肝臓内で作られることができます。ところが、血糖値が高いと、この現象は起きません。日本における正常な空腹時血糖値は、110mg/dl以下ですが、メタボリックシンドロームの予防には問題があります。以下の表をご覧ください。空腹時でも、血糖値が83mg/dl以上の時、取り込みのホルモン、インスリンが活発に分泌され、どの臓器でも、消費エネルギーは取り込んだ血糖で補われます。つまり、睡眠中や食間の血糖値を下げる努力をしない限り、カロリー制限や一定の有酸素運動では、体脂肪が全く減らないだけではなく、逆に増える可能性があるのです。というのは、高い血糖値になれた脳は、自分のカロリー源を確保すべく、頭痛、イライラなどの自律神経症状を起こして糖質を食べるように仕向けるからです。

血糖値が83mg/dl以下になると、血糖を作るホルモン、グルカゴンの分泌量が高まります。それとともにストレスホルモンであるアドレナリンや成長ホルモン分泌も高まります。これらのホルモンの刺激で肝臓は、血糖を製造します。脂肪組織や筋肉も、これらのホルモンの刺激に反応して中性脂肪やタンパク質を分解、グリセロール、脂肪酸やアミノ酸として肝臓に送り込み、血糖値を維持します。つまり、血糖値が低いレベルに保たれると、座っていても脂肪燃焼が効率よく行われるわけです。

 J Clin Invest. 2007 Apr 2; 117(4): 868–870

J Clin Invest. 2007 Apr 2; 117(4): 868–870

血糖値のホメオスタシス

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血糖値は、約70–110 mg/dlの間に保たれるように、インスリンとグルカゴンという膵臓から分泌される2つのホルモンと、ストレスホルモンの刺激で、非常に細かく管理されています。従来の栄養指導では、摂取カロリーの50−60%を炭水化物で撮ることを奨励しています。でも、健康な人間は、炭水化物や砂糖を全く摂らなくても血糖を正常に維持することができます。つまり、ある種のがん患者、肝障害や急性アルコール中毒などで肝機能が低下した人、極限状態のランナーや競技者でもない限り、人は低血糖状態にならないように作られています。

インスリンとグルカゴンは、ちょうど自動車のアクセルとブレーキのように働き、インスリン(アクセル)が優勢だと血糖の細胞への取り込みが進み、グルカゴン(ブレーキ)が優勢だと、血糖の細胞への取り込みが抑えられます。血糖値が上がると、インスリンは糖の取り込みだけではなく、脂肪分解を阻止して中性脂肪を貯めます。筋肉を成長させ、脳の機能の維持にも役立ちます。血糖値が下がると、グルカゴンは肝臓に働きかけ、グリコーゲン、乳酸、アミノ酸、グリセロールを使って血糖を作るように指示、さらに、ストレスホルモンとともに脂肪組織や筋肉にも働きかけ、脂肪や筋タンパクを分解、肝臓に運びます。脂肪はグリセロールと脂肪酸に分解され、グリセロールは糖に、脂肪酸はエネルギー物質(ATP)に変換され、食べなくても血糖を維持します。

食間血糖値が高いと、脂肪燃焼は起こらない。

本来人間は、脂肪燃焼によってエネルギーを得て日常生活が出来るように進化してきました。ところが、炭水化物中心の食事をしていると、血糖が上がった状態に体が慣れてしまいます。血糖値が上がるとインスリンが放出され、血中の糖を取り除く作業をします。そのため脂肪細胞での脂肪の酸化分解がストップ、せっかくウォーキングなどの有酸素運動をしても脂肪燃焼は起きません。血中インスリン値が上昇すると、脂肪組織への糖の取り込みが促進され、糖は中性脂肪に変換されて細胞を肥大化、脂肪組織に存在する幹細胞は新たな脂肪細胞へと変貌、体脂肪は増えていきます。本来、脂肪組織は飢餓に備えて中性脂肪をたくさん貯めることができる大切な臓器ですが、中性脂肪を貯めすぎると、酸素欠乏に陥り炎症を発生、メタボリックシンドロームの大きな原因となります。

 

甘いものを食べても脳の活性化は起こらない。

脳は、寝ている時も勉強している時もほぼ同じ量のブドウ糖を消費するので、学習能力を高めるために炭水化物やスイーツを摂取することは全く無意味であるばかりか、悪影響があります。例えば、空きっ腹でオレンジジュースや蜂蜜たっぷりの紅茶を飲めば、血糖の急上昇からインスリン分泌が増大、血糖値の急降下を引き起こし、短期的には眠気や疲労感をもたらす原因になり、長期的には血中の中性脂肪を上昇させ、循環器疾患の要因になります。今までの常識にとらわれず、体脂肪が正常に使われる身体を手に入れることが予防医学では重要になります。