DNAは設計図ではない

私がよく受ける質問で、「DNA検査を受けたら、私は(うちの子は)◯◯だって言われたのですが、それが影響して◯◯になったのでしょうか?」というのがあります。みなさんが受けられるDNA検査とは、いわゆるフィンガープリント検査であって、Whole genome sequense(染色体全部の塩基配列を明らかにする)ではないので、ある特定のDNAがあるかないか?はわかりますが、そのDNAのスイッチがONになっているかどうかはわからないのです。例えば、ダウン症やハンティントン病のような遺伝病、男か女か?なに人か?などははっきりとわかります。でも、運動能力や太りやすさなど、1つ以上のDNAが環境から受けるEpigenetic effectsで違う状態を表す能力や体質の予想はこの検査で確定することは不可能です。つまり、わかっていることしかわからないのです。

ここまでで読む気を無くされた方、もうちょっと我慢してくださいね!

特別な場合を除いて、体質や将来かかる病気、健康寿命の情報はDNAには書かれていないのです。逆に言うと、理想的な運動と食事を実践し、質の高い睡眠を毎日充分取っていると、1つや2つ認知症や心臓病になりやすいDNAを持っていても健康に100歳ぐらいまでは軽く生きられる、と言うわけです。

「理想的な運動と食事」と言われても???と思った方、まずは、血液検査のHA1c(ヘモグロビンA1c)をみてください。これは過去3ヶ月程度の血糖の平均値です。正常値は5.7以下ですが、「理想的な運動と食事」を続けると(大人の場合)5以下が維持できます。次に、血液検査のALT値をみてください。もしこの値が25以上なら、肝臓に脂肪がたまって炎症を起こしている可能性があります。

健康のためには、大人も子供の血圧と心拍数を毎朝測ることをお勧めします。心肺機能が下がると安静時心拍数は高くなってきます。逆に、定期的な有酸素運動を続けていると心肺機能が向上し、安静時心拍数は下がってきます。血圧は、イライラや睡眠不足、質の低い睡眠で上昇するので、ストレスレベルを知る良い指標です。

Kayo Arima