血糖値ワークショップから見えたメタボリックタイプ

 3月20日の血糖値ワークショップ参加者のみなさん

3月20日の血糖値ワークショップ参加者のみなさん

皆さんは、ご自分の血糖値をご存知ですか? 食べないと低血糖になる、食べずに運動するなんてとんでもない!って思っていませんか?実は、私たち人間は、進化の過程で 食べずに何日も走れる仕組みを手に入れているのです (血糖についてもっと知りたい方はこちら)。体脂肪は、飢餓に備えて中性脂肪をたくさん貯めることができる大切な臓器で、飢餓だけでなく、運動時に上昇するグルカゴンを含むストレスホルモンの働きで、エネルギーの素、脂肪酸を出荷できるように準備しています。つまり、有酸素運動時には、血糖値を維持するために体脂肪をエネルギー源として使うように作られています(運動時の血糖値ホメオスタシスについて知りたい方はこちら)。これを皆さんに体験していただくために、2日に分けて、20名の方に朝食抜きでの有酸素運動を1時間していただき、血糖値を運動開始前、30分後と1時間後に計測して、運動の血糖値への影響を調べました。結果はご覧の通り。わかりやすくするために5つのパターンに分けて説明します。

注1:絶食時血糖値は、前日の食事や体調で変化します。また、各自一回だけの計測結果なので、この結果が参加者の健康状態をあらわしているとは必ずしも言えないことを付け加えさせていただきます。

注2:今回使用した血糖値測定器は糖尿病患者さんがご家庭で使われるもので、正しくない測定値も含まれている可能性があります。また、私は医師ではないので、栄養指導の一環として、血糖値測定を行なったことを付け加えさせていただきます。健康に不安のある方は、かかりつけの医師にご相談ください。
 

⒈ 持久力があるタイプ

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非運動時には、血糖値が83mg/dl以下にならないと、血糖値を上昇させるホルモン、グルカゴンの分泌は促進されません。ところが、運動時は違います。有酸素運動を20分以上続けると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが抑えられ、グルカゴンが優勢になり、肝臓での血糖の生産量がアップ、筋肉がどんどん血糖を取り込んで運動能力が維持できる体制になります。この仕組みがきちんと働いている方たちが、持久力があるタイプです。このタイプの方達では、汗をいっぱいかいて1時間運動したにも関わらず、血糖値は同じか、上昇しました。つまり、この方達は、朝食前に1時間以上の運動ができるし、そうすることで、体脂肪を減らせるということを示しています。

⒉ ランナー適応タイプ

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この方達は、マラソンランナーです。走り出した途端、血糖が上昇、補給食なしに走り続けられるように身体が適応しています。ブルーのラインの方は、血糖値の急上昇に戸惑われていましたが、素晴らしい肝機能とトレーニングの賜物度と考えます。血糖値110mg/dl以上は食後レベルです。低血糖症を起こす可能性は、68mg/dl以下までありません。ペースにもよりますが、この方達は、少なくてもあと数時間は水のみの補給で走り続けられると予測します。

 

 

 

⒊ 低インスリンタイプ

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このお二人は、ちょっと違うタイプです。運動開始時の血糖値レベルだと、まだインスリンが活発に分泌していて、インスリンとグルカゴンが拮抗し、一旦80mg/dl以下に下がると予想していました。ところが、30分後には血糖値が上昇、その後下がりました。この結果は、インスリン分泌量が低いか、インスリン抵抗性を発現している可能性を示唆しています。インスリン分泌が低下すると肝臓内グリコーゲンがためられません。軽い運動にも関わらず、血糖値の維持ができなかったのはそのせいではないかと推測しています。このタイプの方は、主治医へのご相談の上、食事の改善が望ましいと考えます。

⒋ 低グリコーゲンタイプ

このタイプは、一見低インスリンタイプと同じに見えますが違うタイプです。運動前の血糖値は80mg/dl以下だったので、すでにインスリンの分泌量が低下して、グルカゴンの分泌が上がってきている状態でした。肝臓は、肝臓内にあるグリコーゲンを使って血糖を効率よく製造、30分時点での血糖値上昇につながりました。ところが、運動強度が変わらないにも関わらず、1時間後には血糖値は下がりました。このお二人と持久力があるタイプの方達との大きな違いは、肝臓内グリコーゲン量です。小腸からの吸収が悪い、甲状腺機能が高いなど、色々な理由で、うまくグリコーゲンが肝臓にためられなかったか、それとも、もうすでに使ってしまっていたかのどちらかだと考えられます。

⒌ 糖質依存タイプ

このタイプは、いわゆるシュガーバーニングマシーンと言われる、運動しても体脂肪が使われないタイプです。通常、有酸素運動時にはインスリン分泌が強制的に下がり、グルカゴン分泌が上がります。その結果、肝臓は血糖製造工場としてフル活動し、血糖を維持、又は上昇させます。ところが、常に糖質に頼った食生活をしていると、脳は、食べ物での補給に期待して、指示を怠ります。その結果、肝臓での血糖製造も促進されず、血糖値は下がります。マラソンランナーやサイクリストで、常に補給をしながら走っている人たちは、このタイプです。もし、体脂肪を上手に使い、持久力をアップさせたいなら、食事改善が絶対に必要です。